さて、今回のテーマは、「好意同乗減額」です。
好意同乗減額とは、事故車の同乗者が、過失のある運転者の車に自らの意思で同乗していた場合に、同乗の経緯や態様に応じて、公平の観点から同乗者に対する賠償額を減額する考え方をいいます。
裁判実務において、好意同乗減額が認められるのは、事故発生の危険が極めて高いような客観的事情の存在を知りながらあえて同乗した事情がある場合、あるいは、同乗者において事故発生の危険が増大するような状況を作り出したなどの非難すべき事情がある場合に限られています。単に過失のある運転者の車に自らの意思で同乗していた場合にこの好意同乗減額が認められるわけではありません。
好意同乗減額が認められる典型的なケ-スとしては、運転者の飲酒を知りながら同乗したケースです。この場合には運転者の飲酒運転の事情が事故の発生に影響を与えていないことが認められない限り、ほぼ減額が認められています。
このほかにも好意同乗減額が認められる類型がありますので、この続きは次回のコラムで述べさせていただきます。
弁護士 疋田 優