以前の私のコラム「賠償額から控除されるものは何?」では、賠償額から損益相殺される項目について取り上げました。その際、各種社会保険給付については、賠償額から控除されることを紹介しました。
もっとも、社会保険給付に関しては、将来にわたり継続的に給付されることが予定されているものがたくさんあります。それらについては、既払い分だけ控除すればよいのでしょうか。それとも将来分まで控除する必要があるのでしょうか。
この点、最大判平成5年3月24日(民集47巻4号3039頁)は、地方公務員等共済組合法に基づく遺族年金について、既に支給された分及び支給を受けることが確定した分に限って控除すべきであり、将来の支給未確定分については控除の必要はない旨判示しています。このような扱いは、遺族年金だけでなく、その他の各種社会保険給付についても同様であると考えられます。
具体的なケースにおいてどこまで控除されるかについては、弁護士にご相談ください。
弁護士 田 保 雄 三