さて、今年も残すところあとわずかとなりました。今年最後のコラムは、過失割合をテーマにしたいと思います。
交通事故の裁判実務では、日々多くの事故が発生しているため、公平性の観点などから、判例タイムズ社から出版されている、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」という書籍により、事故の類型ごとに過失割合(過失相殺率)が基準化されています。死亡事故においても、保険会社から上記判例タイムズに基づいて、過失相殺の主張がなされるケースがしばしばあります。
もっとも、ここで重要なことは、上記判例タイムズに記載された基本的な過失割合(過失相殺率)は典型的な事案を前提としたものにすぎませんので、必ずしも当該事案において、保険会社が主張している過失割合が妥当しないケースがあるということです。
このようなケースでは、証拠に基づいて、説得的に適正な過失割合を主張する必要があり、特に、死亡事故の場合には、被害者ご本人の供述がないため、遺族の方ご自身で適正な過失割合を主張していくことは困難を伴うものと思われますので、過失割合に納得がいかないという方は、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士 疋田 優