自転車事故でも賠償を受けられる??

 今回は、自転車事故の賠償問題について、お話ししたいと思います。交通事故といえば、自動車事故がまず思い浮かぶ方も多いと思いますが、自転車の運転者が加害者となる死亡事故も少なからず発生しており、近年の自転車利用者の増加、少子高齢化や自動車利用者の減少等の事情から、むしろ交通死亡事故における自転車死亡事故の割合は増加傾向にあるといえます。

 また、死亡事故に限らず、自転車事故においても高額賠償が認められる事例は多くあり、例えば平成20年9月に神戸で起きた自転車事故では、被害者の60代女性が寝たきりとなり、平成25年に神戸地裁において加害者側に9500万円の支払いを命じる判決が言い渡されました。この判決の影響により、近年全国的に自転車事故に関する訴訟が多数提起されるようになり、自転車保険に加入していなかったため、高額の賠償責任を負担した加害者が自己破産を申立てるといったケースも増加している状況にあります。そして、被害に遭われた方は、加害者が自己破産を申立て免責が認められてしまうと然るべき賠償を受けることができなくなってしまうため、このような事態を重く見た地方自治体において、兵庫県を皮切りとして条例により自転車保険の加入の義務化を進める動きが進められているのが現状です(現時点では、大阪府、滋賀県、鹿児島県(その他京都市、名古屋市等)において義務化がされており、今後もこの動きは拡大していくものと思われます。)。

 自転車事故において加害者が無保険であることにより正当な賠償を受けられないという問題は、自動車事故の場合と同様、被害者の方にとっては非常に悩ましい問題といえますが、上記のように被害者保護を目指した制度設計が進められ、このような動きを受けて全国的に自転車利用者が自転車保険へ加入する動きも増えているといった事情を踏まえれば、数年前と比較すれば改善傾向にあるといえます。また、加害者側が既に加入している他の保険で自転車事故の賠償を受けられる場合や、加害者が無保険であっても直接加害者から賠償を受けられる場合もありますので、自転車事故の被害に遭われた場合でも、すぐに諦めて泣き寝入りすることなく、一度弁護士へご相談いただくのが良いと思います。当弁護団においても、事案に応じて様々な角度から適正な賠償を受けるための手段を検討し、アドバイスをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

弁護士 柳田 清史

 

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