死亡慰謝料の増額(6)

 今回は、「高齢者」の方が死亡されたケースについて、いくつかの事例を紹介したいと思います。

 なお、被害者が「高齢者」である場合の死亡慰謝料の標準額は一般に2000万円~2500万円とされています。

 

① 東京地裁平成22年5月12日判決・交民43巻3号568頁

 71歳の女性が被害者となった死亡事故で、加害者が貨物自動車を被害者に衝突させて車底部に被害者を巻込み、人に車をぶつけたかもしれないと考えながらも約30m走行してから停車し、さらに十分な確認をしないまま120m引き摺ったという事案において、2800万円の慰謝料が認められました。

 

② 名古屋地裁平成22年2月5日判決・交民43巻1号106頁

 69歳・年金生活者の男性が被害者となった死亡事故で、加害者が著しい前方不注視で事故を起こした上現場から逃走し、破損したナンバープレートを破棄するなどの証拠隠滅行為を行い、刑事で実刑判決を受けて服役し出所後も損害賠償に応じる姿勢を見せなかったという事案において、行為や態度の悪質性を考慮して、本人分として2200万円、妻分として400万円、子3人について各100万円の合計2900万円の慰謝料が認められました。

 

弁護士 柳田 清史

 

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