今回は、「独身の男女」が死亡されたケースの「死亡慰謝料の増額」をテーマに取り上げます。
なお、被害者が「独身の男女」である場合の死亡慰謝料の標準額は一般に2000万円~2500万円とされています(死亡慰謝料の増額事由については、「死亡慰謝料の増額(1)~(3)」も併せてご覧下さい。)。
① 東京地裁平成15年5月12日判決・交民36巻3号697頁
19歳・男子大学生の男性が被害者となった死亡事故で、加害者が一方的かつ重大な過失により被害者を死亡させたにもかかわらず、事故後逃走を続け、逮捕後も完全黙秘し、刑事裁判でも被害者の速度違反が原因であるなどと述べ、被害弁償も全くなされず、謝罪の言葉すら述べられなかったことなどを考慮し、本人分慰謝料として3000万円の慰謝料が認められました。
② 東京地裁平成18年7月28日判決・交民39巻4号1099頁
19歳・女子大学生の女性が被害者となった死亡事故で、加害者が多量に飲酒し仮睡状態で事故を起こしたこと、救護措置を講じなかったこと、日常的に飲酒運転を行っていたこと、被害者の母が事故後抑うつ状態と診断されていること、次兄が事故を遠因として大学を退学したこと等を考慮し、本人分慰謝料として2500万円、固有慰謝料として父母について各200万円、兄二人について各100万円の合計3100万円の慰謝料が認められました。
次回は、「子供、幼児」の方が死亡されたケースについて具体的な事例をご紹介いたします。
弁護士 柳田 清史