妊娠中に交通事故に遭ったら?

妊娠中の女性が交通事故に遭われた場合には、妊娠中の女性に特有の問題が生じてきます。具体的には、妊娠中の女性が交通事故に遭った場合には、次のような深刻な事態が想定されます。

 ① 流産してしまう

 ② 切迫早産になってしまう

 ③ 産まれてくる子どもに後遺症が残る

今回のコラムでは、①不幸にも交通事故により流産してしまった場合について解説します。

前提として、産まれていない胎児の場合は損害賠償請求の主体としての「人」ではなく、「母体の一部」という位置づけとなるため、お腹の中にいる胎児に固有の慰謝料請求権は生じません。したがって、産まれる前の胎児には、加害者に対する損害賠償は認められません。

では、流産による精神的苦痛は加害者に対する損害賠償に影響しないかといえばそんなことはありません。結論からいえば、通常の傷害慰謝料に加えて、母親が大切な子どもを失った著しい精神的苦痛の分だけ慰謝料を増額することが考えられます(流産した母親だけでなく、父親も精神的な苦痛を受けるため、場合によっては父親にも固有の慰謝料請求が認められる可能性があります)。流産の時期(妊娠何ヶ月目か)、妊娠に至る経緯などの事情によりケースバイケースですが、過去の裁判例では、1000万円以上の高額の慰謝料の増額が認められた事例もあります。

ただし、流産のケースには、加害者(保険会社側)が「交通事故との因果関係」、すなわち「交通事故が原因で流産した」と言えるかについて争ってくることが想定されます。この場合には、被害者の側で因果関係を立証することが要求されますが、これは簡単なことではありません。

もしもこのような状況に直面しましたら、必ず交通事故に強い弁護士に相談されることを強くおすすめします。当サイトにお問い合わせいただければ、その時々の状況に応じた、適切な助言をさせていただきます。

弁護士 藏田 貴之

 

 

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