前回の私のコラム(2018年11月30日公開)では交通事故の相手方が前者の任意保険に未加入だった場合の対応のうち、特に治療費、慰謝料等の人身損害賠償の問題を中心に解説しました。今回のコラムでは、車の修理費など物損賠償の問題を中心に解説します。
前回のコラムでも説明しましたように、交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合、保険会社の「示談代行サービス」が使えません。また、修理費などの物損は、自賠責保険の支払いの対象外となります。そこで、以下のような対応をするほかありません。
(1)加害者と直接交渉する
まず、交通事故の相手方加害者に対し、修理費や代車料、レッカー費用等を支払うよう交渉するのが原則ですが、相手方被害者と直接交渉する場合、そもそも連絡がつかない、加害者が約束を守らないなど、様々な困難が予想されます。
(2)自身の任意保険を利用する
被害者ご自身が加入されている任意保険に車両保険が付帯されている場合には、車両保険を利用して修理費の補償を受けることもできますが、車両保険を利用すると、保険の等級が下がってしまい、支払う保険料が上昇してしまう可能性があります。また、任意保険には、事故や故障時のレッカー費用や代車費用を負担してくれる特約があり、この特約に加入していれば保険の範囲内で補償を受けることができる場合があります。ご自身の加入している保険会社や代理店にご相談されることをお勧めします。
このように交通事故の相手方加害者が任意保険に未加入の場合、修理費などの物損賠償の対応には大変な困難が予想されます。相手方が任意保険に未加入であることが判明した時点で、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士 藏 田 貴 之