「年金受給者の死亡逸失利益について」

 今回は、「年金受給者の死亡逸失利益」をテーマに取り上げたいと思います。

 高齢者で、年金受給者の方が死亡事故に遭われた場合、年金部分の逸失利益を請求することができますが、一般的な逸失利益の算定と異なる点があります。

① 就労可能性年数

  一般に、逸失利益の就労可能年数の算定は、67歳を超える方の場合は、簡易生命表の平均余命の2分の1となりますが、年金の逸失利益を計算する場合には、平均余命が基礎となる点で違いがあります。

② 生活費控除率

  年金は、生活費に費消される割合が高いと考えられていることから、生活費控除率が通常よりも高くなるのが原則です。ただし、年金受給者の方において他の所得があるケースなどにおいてはこの原則が妥当しないといえるケースがあります。

 以上の点から、年金受給者の方が死亡事故に遭われた場合にも、逸失利益の算定が問題になるケースがあり、また、被害者の方に他の所得がある場合などは年金部分の逸失利益を増額できる可能性もあります。

 

弁護士 疋田 優

 

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